地獄のバイト

地獄のバイトの体験談|引っ越しバイトの翌日は足は震えて腕も上がらないほどに

私の高校時代はバイク全盛でしたから、小遣い欲しさに幾つものバイトを経験しました。

「バイク購入」という大きな目標設定があったので、定期的にシフトに入る平均単価のバイトと単発で高単価なバイトと掛け持ちでこなしていました。

そんな中、引越しのバイトは「1件完結型」の日当現金払いでしたから内容によっては短時間・軽作業で丸儲け出来る美味しいバイトでした。

しかしその反面、高層住宅などに当たってしまうと階段地獄に苦しめられる辛いバイトでもありました。今回はそんな引越バイトの地獄について体験談を綴ってみます。

私の父が運送会社に勤務していたこともあって人手が足りなくなると好条件で引越のバイトを紹介されました。

当時の運送会社は配送荷物のジャンル分けがされていませんでしたから、どこの会社も顧客のニーズに合わせてあらゆる荷物を運んでいました。

現代の「宅急便」や「引越センター」が登場するのはこの数年後です。

引越の仕事は、依頼主の条件によって人員配置が変わるのですが、大体、正社員2名とバイト1名の組み合わせが平均的でした。経験を積んだバイトになると、社員ドライバーと2人きりで1件を任されるようになり、比較的荷物の少ない軽めの仕事にありつくことが出来ました。

一緒に組ませて頂いた社員さんの中で最も印象に残っているのは、元〇走族と思われる強面でパンチパーマのドライバーさんです。その方とはたった一度きりのコンビでしたが、今でも鮮明に記憶しています。

会社から彼に与えられたトラックはピカピカに磨き上げられ、車内もとてもキレイで汗臭さのような嫌なニオイも一切ありませんでした。

乗車すると直ぐに運転席側サンバイザーを下げ一枚の写真を見せられました。

そこに写っていたのは真っ白い大きなアメ車「リンカーンコンチネンタル」の前に白いスーツとパンチパーマでポーズを決めた男の姿でした。「これ俺」と口数少なく、しかしとても嬉しそうに自慢していました。

向かった先は千葉方面で、首都高速を走ったのを覚えています。父が先輩として働いていたからか私への扱いはとても丁寧で途中SAで生まれて初めての「月見そば」をご馳走になりました。

その後移動中あまり会話はなく緊張しましたが、なぜか「守られている」ような強い安心感がありました。

着いた先は、大学生のお姉さんが住むアパートで、引越荷物は布団袋がたったの2個でした。作業はものの数十分で終わり、再び2時間ほどかけて帰路につきました。

会社に着いて書類にサインすると、この内容で日当6000円を頂きました。当時のバイト時給は500円相場でしたから、内容はともあれ、とてもいい小遣い稼ぎでした。

本題の「地獄の引越バイト」は、大型トラック2台に社員4名とバイト3名で向かった先。いつもと違う大編成に嫌な予感はしていましたが、現場に着くと予感は的中していました。

6階建ての団地に住む5人家族の引越で団地にエレベーターこそ付いていましたが、とても小さかったので結局家具も段ボールもほとんどのものを狭い階段を上り下りして運ぶ羽目となりました。

驚いたのはその部屋に入った瞬間、荷物が散乱していて引越の準備がほとんど終わっていなかったことです。

段ボールの口は空いたまま、タンスの中身すら抜かれておらず部屋の隅には分厚い綿埃がゴロゴロ・・・ほとんどの作業は我々スタッフが到着してからのスタートとなりました。

引越しの流れが確認されると直ぐに、社員の指示でタンスの引き出しを片っ端から抜きにかかりました。

下の段から順番に引き出しを抜き始め、一番上の小さな引き出しに差し掛かったその時、目の前に引き出し一杯の避妊具の買い置きが飛び込んできました。

私は見てはいけないものを見てしまったという罪悪感とは裏腹に依頼主である中年夫婦を見て一瞬想像してしまいました。

しかし奥さんはどう見ても美人系ではなかったので、瞬時に目が覚め、作業を続行したのでした。

それから梱包の終わった順に、重たい段ボール、間に家具・家電製品が加わりながら、何十回も階段を往復させられました。

次第に足は震えて上がらなくなるし、腕も千切れるかと思いました。結局作業が終わったのは日も暮れた夕方・・・地獄の1日でした。

この内容でも日当は6000円ポッキリですから、あの日を境に引越しのバイトは少し敬遠するようになったのは言うまでもありません。

今はどうか分かりませんが、当時は「ご祝儀」の習慣がありましたから、引越作業に行くと必ず「昼食代」として金一封を頂きました。いわゆる「チップ」です。

これを日当と合わせると、多い日には1日で10000円以上稼いだこともありましたからやめられません。

引越しサービスは今やプロの仕事領域となっていて、トレーニングセンターまであるみたいですから、アルバイトが立ち入るチャンスは少ないのかもしれません。

それでも、こうした地獄のような肉体労働はチャンスがあればトライする価値は大きい思います。汗を流して働いてバイト代を手にすることで、お金の本当の有難味・大切さ、そして自分を育ててくれている親の苦労に気付くのだと思います。

若いうちに地獄を味わっておくと、社会に出た時に少し楽に感じますよ。

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